【医師見解】産後どうして体重が減らないの?妊娠中の運動、産後の適切なダイエット方法は?

妊娠中に思ったより太ってしまい、産後ダイエットをしたいと考えている方は多いと思います。
しかし、産後ダイエットをしたいと思っていても、そもそもいつからはじめても大丈夫なのか?

そして、何からはじめたら良いのかが分からないですよね。

まず気になるのが、産後すぐはダイエットをしてもいいのか??ということではないでしょうか。
出産を経験された方は分かると思いますが、産後は身体がとてもデリケートな状態です。
単純に体力が低下している事もありますが、自律神経やホルモンバランスなどが不安定なため、無理なダイエットは身体に負担が掛かり危険なので避けた方がよいといえるでしょう。

とはいえ、産後すぐからでもできるダイエットはないのかと思っているママ達も多いのではないでしょうか。そんなママ達の疑問を一つずつ解説していきましょう。まずは、いつ頃からダイエットをはじめてもいいのか??そして、どんなダイエットからはじめたらいいのかを解説していきます。

妊娠中の運動と産後ダイエットの医師見解は?

まつお産科・婦人科クリニック 松尾敦院長の見解

妊娠中の運動について

妊娠中の適度な運動は体重増加の防止だけではなく、体力を維持し、ストレス解消や血行増進することでむくみや便秘を改善する効果もあります。妊娠初期は流産しやすい時期ではありますが、そのほとんどが染色体異常など受精卵の原因といわれ、動き過ぎたなどということとは関係ありません。

そのため、妊娠12週まではそれまでと変わらない運動をしても構わず、妊娠12週以降は、妊娠前の7割ほどに強度を抑えれば大丈夫であると考えられています。

妊娠してから新しい運動を始める必要はなく、一番簡単にできるウオーキングなどがお勧めです。

具体的には、週2~3回、夕方はおなかが張りやすくなるので午前10時~午後4時の炎天下は避け、十分な水分補給をしながら1時間以内を目安にするとよいでしょう。さらに体を動かしたいというのであれば、最近では妊娠中でもできるヨガ、エアロビクスやスイミングなども盛んに行われています。特にマタニティー専用クラスであれば、運動開始前後の血圧測定、胎児心拍の確認などメディカルチェックも受けられるので安心です。

適度な運動によって子宮収縮が促されることはないとはいわれていますが、おなかが張っている妊婦が運動することは流産・早産につながります。あなたの妊娠経過をよく把握している主治医に相談した上で可能なもの、かつ自分の体調に合った、気持ちのいいと感じられる運動を無理のない範囲で行ってください。

 

産後ダイエットについて

では、産後はどうでしょう。出産後に崩れてしまったボディーラインが気になる方は多いようですが、産後直後は子宮もまだ回復しきっていません。産後の運動は、体力を回復させる運動と、妊娠出産によってゆがんだ体を整える運動がメインです。

たくさん動いてカロリーを消費すればいいというわけではありません。

まずは妊娠で伸ばされ、弱ったおなか周りの筋肉(腹筋)や、出産で緩んだ骨盤内の筋肉(骨盤底筋)に徐々に刺激を与える産褥(さんじょく)体操をお勧めします産褥体操は産後のママの体調改善を目的としています。劇的な効果は見られないかもしれませんが、その後の骨盤矯正やダイエットの土台になります。

本格的な運動を始めてよいのは、早くても産後1カ月たった後。1カ月健診で医師から問題ないと判断されてから運動するようにしましょう

一般に、気になる妊娠太りで体についた脂肪は通常よりも燃焼されやすく、この脂肪が一度定着すると落とすのはなかなか難しいといわれています。体力が戻ったら産後6カ月を目安に集中的に行うとよいでしょう。

しかし、この期間は育児も同時にしなければいけない忙しい時期でもあり、今後の体調にも悪影響を及ぼすこともあります。結果を出すスピードよりも、決して無理をすることなく継続的に行うことが重要です。くれぐれも食事を極端に減らしたり、極度な運動をしたりしないよう、長期目線で健康的なダイエット計画を立てましょう。

 

産後に体重が戻らない原因

産後は、体型の変化や体重の増加、皮膚のたるみなど、身体の変化に悩む女性は非常に多いのではないでしょうか。

まず上げられるのは、産後の身体はデリケートなために、すぐにはダイエットを始めることができないこと、さらに産後の生活の変化や食事の変化により、体型や体重を元に戻す事が困難であるといえますね。

また、生活習慣以外では、骨盤の歪みや姿勢の習慣が大きな原因の一つといえます。

具体的に産後体重が戻らない大きな原因は下記の4つです。

1. 骨盤の歪みとホルモン
2. 筋力の低下
3. 育児による運動不足
4. 育児による食生活の乱れ

上記以外にも原因は様々ありますが、この4つの原因は産後に体重が戻らない原因のなかでも特に大きな原因といえますね。

 

1.骨盤の歪みとホルモン

妊娠中には「黄体ホルモン」と言われる、脂肪と水を貯め込むホルモンが分泌されます
このホルモンが分泌されることによって、母体が赤ちゃんを育てる身体に保つ事ができるのです。
ですが、実はこのホルモンは産後であってもすぐに減少するわけではないのです。
このホルモンは、出産の際に開いた骨盤をそのままにしておくと継続して分泌し続けるという特徴もあるのです。

つまり、骨盤が開いたままにしておくと、身体がまだ妊娠していると勘違いをしてしまい、黄体ホルモンを分泌し続けてしまうのです。産後ダイエットには、食事や運動などとは別に、まず一番最初にやらなければならないのは骨盤の歪みの矯正であるということですね。

骨盤のゆがみで現れる症状

  •  肩こりや腰痛
  •  冷え性や便秘
  •  むくみ
  •  下腹が出る
  •  ひどい生理痛
  •  代謝が悪くなり太りやすくなる
  •  心の不調

 

骨盤のゆがみに効くストレッチ

膝を抱えて引き締め体操

骨盤の左右のバランスを整えるのにも効果的な体操。

  

(1)あお向けになり、足をそろえて、左右のひざとかかとが床と平行になるようにしながら両腕でひざを抱える

(2)息を大きく吸って骨盤をゆるめる

(3)息を吐きながら、腕の力でひざを胸のほうに引き寄せて10秒間キープする

 

骨盤底筋群を鍛える体操

膣を締める効果のあるこちらの体操は、妊娠・出産にかかわらず、おすすめ

 

(1)体の縦のラインはまっすぐ、横軸は肩や腰のラインが平行になるようにあお向けになる

(2)足は肩幅くらいに開き、ひざを立てる。手は、手のひらを下にして床に下ろす

(3)下腹部とお尻に力を入れて骨盤を締め、息を吐きながら腰を上げる。足の裏で床を押し、膣がキュッと締まるのを意識しながら。腰は反らさないようにする

 

2.筋力の低下

妊娠中から出産にかけては、日常的に歩いたりするという運動自体も極端に減ってしまいますそのため、足の筋肉が通常よりも衰えてしまっていると考えられます。それに加えて、出産準備で貯め込んだ水分や脂肪があり体重が増えていることから、いつも以上に下半身への負担が大きいといえるでしょう。足の筋肉が衰えてしまうと、下半身に溜まった水分を心臓に戻す機能が低下してしまうため、むくみの原因にもなってしまいます。
歩くという日常行動を積極的に行うことで、足の筋肉を無理せず戻す事ができ、更には歩くという行為自体がポンプの役割を果たし、下半身に溜まった水分を循環させてくれるので、むくみも解消されるでしょう。

 

3.育児による運動不足

育児が忙しくなると朝夜関係なく子供の面倒を見なければなりませんよね。落ち着いて身体を休ませる暇も無いのに、運動なんてもっとできないと思って、殆ど運動をしなくなってしまう人も多いと思います。さらに、育児によるストレスが溜まり、疲れてくると家の中を歩くのでさえ億劫になってしまい、どんどん運動不足になるという悪い循環になってしまいます。

本格的な運動をするというと、精神的にも疲れている状況で難しいと思います。

また、常に赤ちゃんを見ているということを考えると、どうしたらいいのか分からずあきらめてしまいがちですよね。まず、ダイエットのために運動をするという概念をやめて、単純に家の中を歩くことや普段の家事を運動と捉えて積極的に動いてみましょう。面倒くさくてやりたくないときもあると思いますが、ダイエットをするために新たに別の運動をすることを比べてみると家事の方が簡単に行動に移しやすいと思いますよ。

 

4. 育児による食生活の乱れ

育児の忙しさから運動不足になってしまうことに加え、食生活の乱れも大きな原因となります。
子供の世話がメインになってしまうので、自分の食事は簡単でお腹がふくれれば何でもいいや、という食生活になりがちですよね。簡単に食べられてお腹がふくれる食事の殆どは、カップラーメンやレトルト系、出前の食事など、糖質や脂質が多く入っているため、食事量は少なくても太る原因となります。最近だとレンジで手軽にできる料理や栄養バランスの良い食事を手軽に作れるレシピなんかもネットで沢山あるので、それらを参考に普段の食事に取り入れてみましょう。

 

どんなダイエットからはじめたら良いか

産後太りの原因が分かったところで、どんなダイエットからはじめたら良いでしょうか。

産後は、体力の低下等によって身体が弱っている状態です。焦って無理なダイエットを行うと、身体に悪影響を与えてしまうので、ある程度時間をかけて行っていきたいものです。

ただ、できるだけ早めに元に戻したいと思う人も多いでしょう。

無理なく、効率の良いダイエットをするには何からはじめたらいいでしょうか。

いくつかに分けて詳しく説明していきましょう。

骨盤を引き締める

産後の腰周りは、骨盤が開いているためどっしりとした感じがあります。
この骨盤は、大体3~4ヶ月かけて閉じていきますが、完全に戻る6ヶ月までに骨盤を正しい位置に戻しておかないと、骨盤内部に脂肪が取り残されてしまう恐れがあります。

取り残された脂肪は硬くなり、落しにくい脂肪となってしまうので、産後ダイエットでは最優先で骨盤の引き締めをすることが大切です。

骨盤引き締めのエクササイズでオススメなのは、上記で記載させて頂いたストレッチも重要ですが、足を前に出して座った状態でお尻を使って前後に歩く「お尻歩き」です。

腰周りからお尻にかけての筋肉を使うことができ、骨盤の引き締めもできるでしょう。また、産後の骨盤矯正もオススメですが、自分で行うよりは、骨盤矯正の専門でやっている医療機関にいくほうがよいでしょう。

産後低下している体力を見極めながら焦らずゆっくり行うようにしましょうね。

 

産褥体操

産後の体操には、妊娠や分娩によって伸びた筋肉や関節を元に戻す効果があり、血液の循環も良くするため、子宮の回復を速やかに促す効果もあります。

産褥体操は出産後すぐから行えるように考えられている体操で、産後の体力に合わせながら段階的に進めていくことができる体操です。

まずは、低下した体力を元に戻す事を目的にして身体を動かすことが重要です。

産後に本格的な運動を開始するのは、身体に大きな負担が掛かりすぎるため、産褥体操で少しずつ身体を慣らし、十分な余力を残しながら行うようにしましょう。

 

産褥体操のやり方(例)

1日目~:腹式呼吸・足首体操

1.仰向けに寝た状態で、ゆっくり呼吸をする腹式呼吸。
口から息を吐くときにはお腹を凹まし、鼻から息を吸うときはお腹を膨らませる。

2.両脚の爪先をゆっくりと曲げ伸ばしする。

2日目~:足首回し・頭起こし・母乳体操

1.仰向けに寝た状態で、爪先を大きな円を描くようにゆっくりと回す。

2.仰向けに寝た状態で頭をゆっくりと持ち上げる。この時、呼吸は止めないように注意する。

3.腕を上げ、肘で脇を軽くたたく。肘で胸をすくい上げるように回して、肩甲骨を寄せる。腕を後ろから前に大きく回して、前で両肘を合わせて胸をすぼめるようにする。

4日目~:腕回しと軽い腹筋・足の屈伸運動・足の引き締め運動

1.仰向けに寝た状態で、指を組み、腕を頭の上まで上げて、ゆっくりと胸→お腹→下腹に反って下げる。腕をお腹まで下げたときに、頭を少し上げてお腹を凹ませる

2.両脚を立てた状態で仰向けに寝て、片足の膝を伸ばして、太腿と足先が一直線になるようにする。交互にゆっくりと繰り返す。

3.仰向けに寝た状態で、片足をピンと伸ばして上げる。ゆっくり下ろすことを左右の足交互に行う。

6日目~:腰上げストレッチ・足上げ運動

膝を立てて仰向けに寝た状態で、お尻を上げる。肩甲骨から膝までを一直線にするようイメージしてお尻を上げる。ゆっくりと下ろす。

膝を立てて仰向けに寝た状態で、片足の付け根から天井に向かってあげる。
両脚を交互に繰り返す。

まずは、上記の1週間程度行う運動を少しずつ行っていき、3ヶ月くらい毎日行うようにしましょう。

体調が悪いときや、疲れたときは無理をせず、楽な運動にさかのぼって行っても良いです。

食事の管理はどうする?

産後から授乳が始まり、食事に関しては制限するのが怖いという方もいらっしゃると思います。
しかし、極端に食事制限をしなければほぼ問題ないといえます。それよりも、食べたいときにお腹いっぱい食べるという食事をしている方が太りすぎの原因になりますので避けなければなりません。

炭水化物を少なくするという、糖質制限ダイエットがありますね。こちらは、糖質(炭水化物)・脂質・タンパク質のバランスを考えながら糖質を押さえていくという方法です。脂質に関しては、揚げ物等の極端に糖質が高い食材を避ければ他に気にする必要はありません。
問題は、タンパク質です。

糖質制限をすると分かりますが、日本人の食生活では、タンパク質が思った以上に摂っていないことが多いので、これを機会にタンパク質もしっかり摂るようにしましょう。

タンパク質には、肉類がオススメですが、お肉ばかりでは厳しいと思います。お肉以外では、魚や豆、ナッツなどの木の実系など様々な食材に多く入っています。木の実などタンパク質以外に脂質も多く入っている食材もありますので、注意が必要ですが、意識してタンパク質を摂るようにしていくことで食事は変わってくるとおもいます。

タンパク質が効率よくとれない場合は、プロテインなどを摂取してもよいでしょう。プロテインはタンパク質を抽出したサプリメントであって、タンパク質が足らないなと思ったときに補助的に取り入れると非常に効率的に摂取することができるのでオススメです。

まとめ

産後の体重や体型が戻らず、困っている女性は非常に多いですよね。
まず、そこで大切なのが、原因をしっかり突き止めることと、原因に対する対策を立てることです。痩せる方法(対策)ばかりに目がいってしまい、原因がなんなのかを調べない人も多く、この順序が合っていないが為に痩せないという状態に陥っていることが殆どです。

順序が合っていれば、それ程苦労することなく痩せることができるのは間違いありません。

産後ダイエットの順序で言えば、まずは骨盤の歪みを直すことで黄体ホルモンの分泌を抑える。
そして、産褥体操をすることでゆっくりと体力を回復させることからはじめていく。

食事は最初からきっちりバランスをかんがえるよりは、全体的な栄養バランスを見て足りない栄養素を摂るように意識することと、簡単に作れてバランスの良い食事を心がけて摂るようにするということを意識するようにしましょう。

子育てで忙しくばたばたしてしまい、ダイエットどころではないと思うママ達も多いと思いますが、無理したダイエットはストレスが溜まり逆効果になりかねませんので、今の生活を利用して少しずつダイエットをはじめていくこと、ダイエットをしなければという意識では無く、普段の子育てや家事がすでにダイエットをしていると思うことが大切です。

産後ダイエットは難しいという意識をすてて、ほんの少し意識を変えるだけで簡単にできるという意識に切り替えて行えば、誰でも結果を出すことができますので、焦らずゆっくりストレスを貯めないように産後ダイエットに挑戦してみましょうね。