医学会でも指摘!心と身体の調子を調える睡眠の重要性

心と身体の調子を調える睡眠の重要性

睡眠は、一日フルで働いた脳をゆっくり休ませる為に必要な行為です。睡眠時間を極端に少なくすると脳の働きが乱れてしまい、自律神経やホルモンも乱れ、心身に不調をきたすこととなります。

ハーバード大学での、近年の睡眠に対しての研究でも、睡眠と精神的健康は密接に関連しているとされています。また、睡眠不足は心理状態と精神的健康に影響し、メンタルヘルスに問題がある人は、不眠症や他の睡眠障害を持っている可能性が高くなると言われています。睡眠障害は、特定の精神疾患を発症するリスク、およびそのような障害のリスクを高める可能性があり、睡眠障害の治療は、メンタルヘルスの問題の症状を緩和するのに役立つと発表しております。

 

 

睡眠中は、ただ体を休めるだけではなく、心身の修復や記憶の整理をしています。まず体は、眠っている間に成長ホルモンを分泌し、疲れをとり、傷んだ部分を修復します。また、日中に見たことや学習したことを脳に定着させたり、整理したりするのも睡眠の効果です。つまり、睡眠は心身の休息と脳のメンテナンスのためにあるのです。睡眠時間が不足すると、メンテナンスも不十分になり、疲れがとれなかったり、学習の効果が低くなったりします。また、寝る前に食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、消化・吸収・分解などのために余分な労力を使い、十分に休養がとれません。

医学・学術論文でも指摘されている睡眠の重要性

睡眠不足は、昼間の眠気や全身倦怠感 、集中力低下 、不安 ・イライラなど身体的精神的症状を呈するだけではなく、高血圧・ 糖尿病 ・高脂血症などの生活習慣病の誘因や増悪因子となりうる。一方、 高血圧や糖尿病では不眠が高率にみられ 、不眠の原因疾患として考えられている。

 

・日本精神神経学会認定 精神科専門医・指導医

・日本老年精神医学会 専門医・指導医

・日本臨床精神神経薬理学会 専門医・指導医

内村直尚 医師

出典:日本心身医学会総会の論文より一部抜粋

 

 

現代に蔓延するストレス環境

現代人は常に緊張状態にさらされ疲れています。朝の通勤ラッシュに始まって、会社に着けば同僚たちと共にデスクを並べ、クライアントと会い、また帰宅ラッシュの電車に乗り込んで家へと帰る。仕事を持っていなかったとしても、日々のママ友づきあいや近所づきあいなど、現代人の毎日は人間関係に支配されていると言っても過言ではないはず。それだけではありません、家から一歩外に出た瞬間から、マンションのエレベーターや車の運転、歩道でも他の歩行者や信号を気にしたり、駅のホームで歩く場所にも気を使う世の中です。

自分の居場所を出て、外にいる時、人は緊張にさらされている状態、つまり交感神経が興奮し続けている状態にあります。現代人は8時間以上も緊張状態が続き、疲れる環境になってきています。

 

 

"睡眠は心の健康に良い"

眠る前は憂鬱な気分だったのに、一晩ぐっすり眠ったらスッキリしていたという経験はないでしょうか。実は、これも睡眠の効果です。十分な睡眠が得られないと、深い睡眠の間に分泌される疲労回復物質が十分に分泌されず、心身のメンテナンスが不十分になります。そのため心身のストレス解消は不十分になってしまうのです。日本人の睡眠時間は欧米諸国と比べると短く、特に女性ではその傾向が顕著に表れているというデータがあります。また、厚生労働省のデータによると、現在、日本人の5人に1人は、睡眠時に何らかの障害を抱えているとされています。時間が不足しているばかりか、睡眠の質にも問題があると考えられる睡眠。しかも睡眠不足は、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病の原因になるともいわれています。

一般に、睡眠時間が6時間未満になると、翌日の日中に強い眠気を感じるようになります。こうした睡眠不足が続くと日中の慢性的な眠気が生じ、疲れやすさ、集中力や注意力の低下、イライラ感などが起こって、日常生活に支障が出てきます。一般に成人の場合、1日7時間とその前後1時間くらいの睡眠がほどよいと考えられています。最近の研究では、睡眠時間がそれよりも短い場合や、長い場合には6年後の死亡率が高くなるという結果も報告されています。

 

 

"夜は睡眠の環境づくりの心掛けを"

眠っている間は日中のさまざまな緊張感から解放され、自律神経機能が活発になることはありません。いびきをかく、何度も起きて寝付けないなどといった睡眠がうまくとれていない人など、疲労回復できなければ心身の不調はさらに悪化してしまいます。「睡眠をとる」だけでなく、疲労を回復できる質のいい眠りのために、寝具や照明など睡眠環境作りも大切です。眠る直前までスマホを触っているというのは睡眠の質に影響していきます。ベッドに入って目を閉じるその瞬間まで、夜は交感神経の分担を減らすことを心掛けましょう!

 

 

睡眠は記憶力、学習効果を高める

最近の神経科学の研究から、学習の重要な部分が睡眠中に起こることが示され、目覚めている間の新たに得た記憶は、夜間に脳内で蘇る。この再生プロセスによって、記憶したことの少なくとも一部が、長く脳内に残っていくと言われています。

また睡眠によって、休息した脳は、効率的に仕事やものごとを覚えたり、思い出したり出来ます。また寝ている間に、脳は記憶の整理などのメンテナンスをしています。充分な睡眠が取れていないという人は、仕事のためにもしっかり寝ることが必要です。充分な睡眠を取るからこそ、日中の時間帯に冴えた状態を維持できるということは、様々な脳に関する研究が示しています。短時間の仮眠でも集中の度合いは違ってきます。睡眠はまた、学習能力や問題解決能力も高めるともされています。睡眠はあなたの脳内を整理してくれます。脳は睡眠時に脳に溜まった様々な情報を整理するということが脳神経科学によって示されています。

 

睡眠と記憶について

「眠らないと記憶は定着しないから、試験前の一夜漬けは効果がない」といった話を学生時代に聞いたことがあるかも知れません。ただ普段勉強していない学生は、徹夜して試験に臨んだほうが良い点数が取れる傾向があります。日頃から勉強している学生は、試験中に頭が回るように、きちんと睡眠を取るべきです。でも、もともと知識がない、暗記出来ていないのであれば、眠る時間を削ってでも詰め込んだほうが良いのは、経験からも分かる方がいるでしょう。そもそも暗記していないことを脳は思い出さないので、睡眠を削って暗記した方が良い時もあります。

― 記憶には大きく短期記憶と長期記憶があります。

短期記憶

短期記憶とは、数十秒から数分の間だけ保持される記憶で、その時間が過ぎると記憶は消えてしまいます。短期記憶で一度に記憶できる個数はおよそ7個といわれ、誰でも5個から9個しか覚えることができません。音声で聞いた電話番号を覚えて電話をかけたり、パスワードを覚えてパソコンに入力したりするときの瞬間的な記憶のことで、次の作業に入るときには忘れてしまうものです。

長期記憶

長期記憶とは、覚えた電話番号にあたります。はじめはすぐに忘れてしまっていた電話番号も、繰り返しかけるうちに覚えてしまいます。こうして一度、長期記憶が形成されると、数時間から数年、時には死ぬまで脳に残り続けます。また、印象的な出来事などは記憶に残りやすく、意味のない数字の羅列などは記憶に残りにくいとされています。このうち知識や体験など言葉にできるものを陳述記憶、泳ぎ方や自転車の乗り方など言葉にしにくいものを手続き記憶と呼びます。手続き記憶は、いわゆる体で覚える記憶です。もちろん実際には脳が記憶しているのですが、通常手続き記憶を意識することはないので、記憶として捉えにくいのかもしれませんが、手続き記憶は同じ経験を何度も繰り返すことで形成され、一度記憶されると自動的に機能します。また、最も忘れにくい記憶でもあります。陳述記憶は宣言的記憶ともいわれ、イメージや言葉で思い浮かべることができ、その内容を話すことすることができる記憶のことを言います。